ライツで育てるかぐや姫―前編―



全ては琳華さんの素敵発言からこの妄想は始まりました(笑)
思いっきりパラレルなので、そういうの苦手な方は見ない方がよろしいかと思います;
付いてこられる方だけどうぞ。かぐや姫妄想、前編。





争いのない、平和で穏やかなキンモク星での、ある日の夜の出来事です。

火球皇女は、自分の部屋の窓から見える景色を眺めていました。

すると近くの森に、一筋の光が音もなく、空から流れ落ちたのが見えて、火球は目を見張りました。

森に光が流れ落ちたというのに、騒ぎ立てる様子もなく周りは静かなまま。

光は弱くなったものの、消えることなく森を照らしています。

火球は好奇心に駆られて、その森へと足を運ぶのでした。

森に着くと、そこはあの優しい光が立ちこめていました。

これは星の輝き、とすぐに気付いた火球は、急いで光の側へと寄りました。

その正体は、すやすやと眠っている女の子の赤ちゃんでした。

そっと、火球皇女はその赤ちゃんを抱き上げ、元来た道を戻るのでした。




翌朝、赤ちゃんを抱えた火球を見て、その守護スターライツは驚きを隠せませんでした。

事情を聞かされ、きっぱりと赤ちゃんを引き取るという火球に、ライツ達は頭を抱えました。

しかし特に害はなさそうなので、火球の言う通り、一緒に赤ちゃんを育てることにしたのでした。

火球は、赤ちゃんにかぐやと名付けてそう呼ぶと、かぐやは笑って応えるのでした。





しかし一緒に育てるとは言え、火球は皇女なので色々と忙しく、

かぐやの相手は主に守護のライツ達がしていました。

そんな中、かぐやはみるみる成長し、一ヶ月で5歳くらいにまで育ちました。

守護スターライツの一人、大気は、そろそろ勉強を教えるべきだと言って、

かぐやにキンモク星の歴史の本を読み聞かせましたが、かぐやにはまだ理解出来ませんでした(笑)





お勉強の時間が嫌なかぐやは、その度に抜け出しては大気に見つかり、

連れて行かれる日々を送っていました(笑)

しかし、ある日かぐやは、絶好の隠れ場所を見つけました。

守護スターライツの一人、夜天の部屋のベッドの中でした。

大気にも見つからず、ふわふわとした布団と枕にくるまって

かぐやは、幸せな眠りにつくのでした。しかし、幸せはそう長くは続かないもので、

すぐに夜天に見つかり起こされて、たっぷりと叱られた後で、大気に差し出されるのでした。

それでも、ふわふわを覚えてしまったかぐやは、何度もベッドに潜り込むのでした。





夜天が何度言っても、ベッドに潜り込んで寝るのを、かぐやはやめませんでした。

その日もやはり自分のベッドで寝てるかぐやに、夜天は溜息を吐いて、

かぐやを後ろに退かして、自分の眠れるスペースを確保して眠りにつきました。

ベッドはかぐやの子供体温でぽかぽかと温まっていて、冷たかった夜天の体はすぐに温かくなりました。

怒るのも疲れちゃったし、湯たんぽ代わりになるなら別にいいかな、と夜天は微睡みながら思い、

次の日から、かぐやを大気に引き渡すことは(面倒なので笑)しなくなったのでした。






かぐやは、守護スターライツの3人の内の大気と夜天には懐いていました。

しかし、残りの一人…星野だけはなぜか、どうしても苦手なままでした(笑)

星野は、かぐやのことは嫌いではありませんでしたが、懐かないので気に喰わないのでした(笑)

しかし火球は勿論のこと、大気も夜天も用事が出来てしまい、

星野とかぐやは二人で気まずい一日を過ごすハメになってしまいました。

星野は、かぐやの好きな隠れんぼをして、機嫌を取ることにしました。






かぐやは隠れんぼが大得意で、今まで誰にも見つかったことはありませんでした。

それ故に、初めて一緒に隠れんぼをする星野に、すぐに見つかるのは嫌なのでした(笑)

絶対見つからないような場所を、近くの森の中で昨日の散歩中に見つけたかぐやは、

その場所目指して城を抜け出し、まっすぐ近くの森へと走っていきました。

湖の側の、草花に隠れてほとんど見えない小さな洞くつの中へと、かぐやは身を潜めました。

その頃、鬼の星野は城の中を探し回り、首をかしげていました。

まさか城の外に出たんじゃ、と窓の外を見ると、雨が降り出していました。

不安になった星野は、門番にかぐやは外に出たかを聞くと、

やはり森の方へ走っていったと言うのでした。

星野はそれを聞くやいなや、慌てて近くの森へと走り出しました。

遠くから唸るように、雷が鳴り始めました。かぐやは怖くて、洞くつから出られませんでした。

このまま一人だったらどうしようと、かぐやの目に涙が溢れてきました。

ふと、聞き覚えのある声が自分の名を呼んでいるのが聞こえました。声の主は星野です。

かぐやは洞くつから出て、星野の元へ駆け寄ろうとしました。その時です。

一際大きな音と、目も開けられないような光が覆い、目の前の木が一瞬にして焦げました。

そして、燃えた枝はかぐやに向かって降り注ぎました。

しかし、かぐやは落雷のショックで身動きが取れないでいました。

ぶつかる、と思い、とっさに目をつぶったかぐやの身に、痛みは全く感じられませんでした。

おそるおそる目を開けたかぐやが見たものは、自分を覆って燃える枝を受け止め、耐えている星野でした。

幸い、木が倒れたり大きな枝が降ってくることはありませんでしたが、星野の傷は酷い様子でした。

かぐやは星野の手を引っ張って隠れていた洞くつに連れて行き、知っている限りの手当てをしました。

星野は、傷も確かに痛かったのですが、泣いて謝るかぐやを見るのがもっと苦しかったので、

元気が出るようにと、たくさんおしゃべりをしました。

涙の止まらなかったかぐやに、やっと笑顔が覗き始めた頃、星野は安心したのか眠くなってきました。

不安になったかぐやは星野を揺り起こそうとして愕然としました。星野の顔は真っ青でした。

助けたい、そう強く願ったかぐやに、額の三日月が目映いばかりに光り輝きました。

光は星野を照らすだけでなく、森全体を輝かせるばかりの強い光でした。

光が星野の傷を癒し終えたと同時に、かぐやは気を失い、光も一緒に消えたのでした。





あの後すぐに大気と夜天が駆けつけて、かぐやも星野もこっぴどく叱られました。

火球は二人とも無事で良かったと泣いて抱きしめてきたので、二人は心から反省したのでした。

ふと、星野は自分の体に傷1つないことに疑問を感じて、

自分達を見つけた時の話を大気から聞きました。大気は、光が森を包んでいたとだけ言いました。

大気にもよく把握しきれていませんでした。かぐやも気を失ってはいましたが今はピンピンしていました。

調べる必要がありそうですね、そう言い残して大気は書庫に行ってしまいました。

それを見送っていた星野に、かぐやがいつの間にか側に寄り、心配そうに自分を見上げていました。

星野は笑って、かぐやのおだんごをポンポンと撫でて大丈夫なことを告げると、かぐやは安心して笑うのでした。

それからというもの、星野ともケンカしつつ仲良くなり、3ヶ月が過ぎようとしていました。

かぐやの体は10歳になるかならないかまで、育っていました。




(原作の生まれ変わりほたるちゃんのサターン覚醒を多少インスパイア気味です…汗)

静かな真夜中、かぐやは寝所を出てトイレに行きました。

そこには全身の映る大きな鏡がありました。

手を洗い、一つ大きなあくびをして眠い目をこすり、また部屋に戻ろうとした時でした。

鏡に映っているのは自分の姿ではなく、

白いドレスを着た、悲しそうな顔をしている女性だったので、かぐやは目を丸くしました。

でも、怖いと思うより先に、かぐやは涙をこぼす女性を見て、心配になって鏡に向かって手を差し伸べました。

すると女性も鏡のように同じタイミングで、向こうからかぐやに手を差し伸べて、鏡越しに触れました。

かぐやは鏡の女性を見つめていると、なぜか悲しくて苦しくて、切なさがこみ上げてきました。

鏡の女性はポロポロと涙をこぼして、何か呟いていました。しかし鏡の向こうの声は聞こえませんでした。

かぐやは女性の口元を集中して見ました。何度も何度も呟いたその言葉は、『エンディミオン』

そう読み取れた瞬間、かぐやの頭に何かの映像がよぎりました。

しかしすぐ頭が割れるように痛み、かぐやはしゃがみ込んでイヤイヤと首を振りました。

そして鏡から逃れるように、かぐやは自室へと戻りベッドに潜り込んだのでした。




次の日の朝、なかなか起きてこないかぐやを迎えにいった星野は、

ドアを開けて見たその光景に、口をぽかんと開けて驚くことしかできませんでした。

なんとかぐやが3ヶ月目にして、守護スターライツと同じくらいの年頃へと成長していたのでした。


―後編へ続く!―





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